“変 奏 曲”
【 s o l i d 】

“主 題”

“螺 旋”

“地下鉄に乗るのと同じ
乗る所と降りる所は
わかっているけど
途中の事はトンネルを
掘った人でなくちゃ
でも―
仮説と結論はわかるわ
それでいいでしょ
だめだ
私が月はチーズで
できてると言ったら？
信じない
砂で と言えば？
考える
確かだと言ったら？
信じるわ
じゃ月は砂だね
ええ
ちがう
あなたがそうだと言うから
ウソだ　知識は真理ではない
安易な妥協だ
君は私と　私は誰かと
妥協する
だから知識はあっても
月の真実に迫れない
妥協で理解はできん
物事を明確にし可能性を
探らなくては
それが思索だ
わかった気になれば
思索はとまるが続ければ
理解に達する
そうやって真理に到達する”
映 画 『マリリンとアインシュタイン』より

［7］

母　音
（ぼいん）

Ａ（アー）は黒，Ｅ（ウー）は白，Ｉ（イー）は赤，Ｕ（ユー）緑，Ｏ（オー）青よ，母音らよ，
何時（いつ）の日かわれ語らばや，人知れぬ君らが生（お）い立ちを。
Ａはそも，痛ましき悪臭に舞いつどう銀蠅（ぎんばえ）の
毛羽立（けばだ）てる黒の胸衣（むなぎ）よ，暗き入り江よ。

またＥは，靄（もや）と天幕（テント）の純白よ，
毅然（きぜん）たる氷河のきっ先，白衣（びゃくい）の王者（おうしゃ），繖花形（オンペル）のかすかな顫（ふる）え。
Ｉは緋衣（ひごろも），喀（は）かれし血，怒（いか）りに或（あ）るは
悔悛（かいしゅん）に酔う人の，美しき朱唇（しゅしん）の笑（えま）い。

さてＵは周期なり，緑なす海原（うなばら）の，神さびしわななきなり，
獣（けもの）たちの牧（まき）の平和なり，錬金の術を究（きわ）むる
博士（はかせ）らの額（ひたい）の皺（しわ）の平和なり。

Ｏはそも天のラッパよ，甲高（かんだか）く奇（く）しき響の，
天界と下界をつなぐ沈黙よ，
―オメガなり，神の眼（め）の紫の光なり！

『ランボー詩集』 堀口大學 訳
新潮文庫

≪メトロノーム：混沌と（から）秩序≫

≪『マリリンとアインシュタイン』≫

≪丸・四角≫

≪光と影≫

≪主語と主題≫

［7］

　“古い関係が，その正当性を失うとき，新しい形態が感じられる。
　大小・透明・不透明・固定・変化・表現・形状・フォルム・時間・空間―こうしたすべてに新しい意味が生じ，多様な範囲と，さまざまな大きさのフォルムやパターンの相互関係を把握することによって，われわれは，いろいろな段階の底にはたらく基本法則を知るだろう。―そして，これまで孤立していた新しい世界の体験を共通分母のもとへ合体させることが可能になる。
　新しい視野が一貫性をもつなら，その視野を完全なものにし，全体的な知覚のスケールをつくりだそう”。
　『造形と科学の新風景』より

（旋回する四角）

「離」
［14（15）16］

“短編が人生の長編を書き換える”。
↓
問題は多くなればなるほど厄介なものになる。
時代を反映するかのように内部では分裂をおこし始めていた。
↓
*1“時代の転換点は社会人もボーダーラインの状況に入ると言ってよいのかもしれない。
このテーマを深刻に有するボーダーラインの人たちの中から，
強烈な創造者が分裂規制の統合を試み，自己救済と時代の救済を目指すことになるのかもしれない。”
↓
画家は並行して作品を仕上げる，というはなしをよく聞く？
↓
目を拭うように同じ場所に異なる事象が重なる？
↓
*2“人間の始祖は二元的なるもの，両性を備えて生まれた。創造主は人間に眠り（死）を与え，その間に二つに切り離した。目がさめたとき，人間は二つに，男性と女性とになっていた。これは創造主が，人間に生殖を行わせ，種の絶えざることのないようにと考えたからである。”
↓
ボタンの掛け違え（不完全）はズレの永久運動。
↓
（調和）という言葉を使ってシナリオは（美）という言葉に書き換えられてゆく。
↓
分裂と創造。
↓
ここに（復活）する！

「破」
［14（15）16］

純真さにはどこか残酷なところが見え隠れする。
↓
意味はそのまま落下し分断された。
↓
気泡は重力に逆らい波紋は広がる。
↓
詩は本来の意味（壁）を超えた。
↓
最小は最大を掬い取る。
↓
“割らなければ食べることもできやしない！”

「守」
［14（15）16］

“残響に残像をみる”。
↓
人生には鏡を見ない時期がある？
きっと忙しくしているにちがいない。
↓
*1 “太古の偶像崇拝に関係のあるお金をたいせつだと思いながら，脱古代的な論理にも関心がある。
現代人の分裂は歴史の結果として生じているわけだ”
↓
“詰め込むことで時間の密度は（質）へと転化する？”
↓
“すべてを手放せば苦痛からは解放される？
病に倒れれば私財を擲ってでも救いを求めたくなる。
執着に悩みが宿る？”
［○（□）○］
↓
“（Ａ）となり（Ｂ）を犠牲にした。
（Ｂ）をとって（Ａ’）を犠牲にした。
だが本当に犠牲になったのは（Ｃ）だ”。
［A（C）B］
↓
母としての大地。
↓
傍からみればどう映るのか？
↓
天空は暗闇に閉ざされじっとしていた。
↓
あと少し，
「起こさないで！」

［8］

↓
“追い出して，叩き出して（奪い返して），迎い入れる”。
↓
開かれた芸術は，対象（外）が対象（内）に至る道を辿ることで，
背中合わせに開かれていた（閉ざされた）！

［3］
システムは領域を内と外に分けた？
↓
向かい合わせの会話。
↓
最短距離。
↓
三辺（三角）は背中を向けて閉じていた。
↓
『おぜんや御飯のしたくと金貨をうむ驢馬と棍棒ふくろからでろ』
（グリム童話）